ゴンダールのストリートを歩み、歌い踊る。 / 川瀬慈『ストリートの精霊たち』

エチオピア北部の都市ゴンダールとの出会い。フィールドワークを通した人々との交わり。日々を必死に生き抜こうとする人々の強烈なエネルギーと、それを受け入れ理解しようという筆者の実践の記録。人類学、シネマ、現代アートの実践の交差点からイメージや音による話法を探求する、映像人類学を専門とする川瀬慈氏による、ストリートの熱気と狂気、切なさ、愛らしさの混ざり合う一冊。

 

川瀬 慈  |  ITSUSHI KAWASE

薄汚れた衣服を纏った老婆、鋭い目つきで物乞う少年、露出の激しい派手な格好の娼婦。あらゆる人間が、あらゆるバックグラウンドを背負って、ストリートに集まる。ある者は外国人観光者を騙し、金をとる。ある者は男性を誘惑し、薄暗い宿へと誘惑する。ある者は髪のコップを無言で差し出し、母親が病気である、薬が必要だと嘘をつく。

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ストリートへの不思議な愛着 

ゴンダールに足を運んだことは一度として無い。そうてありながら、ひとつひとつの章で描かれるひとりの人間の発する言葉と、川瀬氏による回想、そしてページをめくると時折現れるモノクロの写真は、少しずつ、それでいて無意識のうちに、読み手をゴンダールのストリートへと招き入れる。故郷のような、しかし私たちの言う故郷とは少し異なった、不思議な地への強烈な執着と愛着を持つ筆者を至極羨ましく思うのである。

ゴンダールのストリートに生きる人間たちと、そこを去って生活の拠点を移す者たち。映像人類学を専門として、現代アートやシネマの視点を取り入れてイメージや音の可能性に迫る実践は、本マガジンのコンセプト、コンテンツの方向性に強烈な影響を与えている。

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