ハイランダーはストリートを駆け上がる

2018/07 |  MASATO USHIMARU

パブリック・マーケットの正面、高原に暮らす人々が集まる円形の広場を抜けて、セッション・ロードに沿って歩く。半壊した煉瓦の壁には、アメリカンなポップアートが全面に描かれている。中華系のレストランを横目に、若いハイランダーは洒落たジーンズショップを目指す。スキニージーンズは、細身の彼らの必需品だ。

坂を登る途中、敬虔なクリスチャンである老女は口を開く。今も変わらず、週末には教会に出かけ、祈りを捧げ、仲間と食事を共にすると。

向かいのカフェ、山の連なりを映す大きな窓を背に、もうすぐこの地を去る女は呟く。これから新しい国に飛んで、それから東南アジアをしばらく旅して回りたいと。

銀行の真横、石の階段に腰掛け、道ゆく人に物を乞う老婆は、刺すような眼差しで見つめる。

鐘の音が響き渡る教会。門の前に立つ少年は、張り裂けそうな胸を抑えて、壊れかけのスマートフォンで少女に到着の知らせを送る。

物乞う女とスーツを着こなすビジネスマン、スキニーを履きこなす青年と、泥だらけの靴を履いて生肉を売る少女。スマートフォンを握って少女の到着を待つ少年と、海の向こうに住んでいた、今は亡き親友を想って祈りを捧げる老女。ハイランダーたちは、全てが入り混じったストリートを駆け上がる。ある者は鐘の鳴る教会を目指し、ある者はショッピングモールを目指し、ある者は丘を越えて隣町を目指す。

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